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8 労働時間の算定

8 労働時間の算定

 労働基準法では、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、その規定の範囲内で労働者が働いているかどうか、使用者には労働時間を適切に把握するなど 労働時間を適切に管理する責任があります。
他方で、外勤の営業職等で労働時間を算定し難い場合の例外的な取扱いとして、事業場外みなし労働の規定があります。
また、事業場内での労働であっても、業務の性質上その業務の遂行方法や時間の配分などを大幅に労働者の裁量に任せる必要がある業務に関しては、使用者が労働時間の管理を行わず労使で締結した協定に定める時間労働したものとみなす裁量労働制も認められています。

■ 事業場外みなし労働【労働基準法第38条の2】

 労働者が、労働時間の全部または一部を事業場外で労働し、使用者がその労働時間を算定し難い場合は、所定労働時間労働したものとみなします。
また、業務を遂行する上で、所定労働時間を超えて事業場外で労働することが必要となる場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」または「労使協定で定めた時間」労働したものとみなします。
ただし、事業場外における労働であっても、複数の労働者が事業場外で労働を行う場合で、その中に労働時間を管理する者がいる場合で、具体的指示を受けて業務を行い、帰社する場合などは、事業場外 みなし労働の対象とはなりません

■ 専門業務型裁量労働制【労働基準法第38条の3】
■ 企画業務型裁量労働制【労働基準法第38条の4】

裁量労働制とは業務の性質上その遂行の手段や時間の配分などに関して使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間数とはかかわりなく労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度のことです。

◇専門業務型裁量労働制(※がついている項目は令和6年4月1日より施行されたものです)

(省令で定めるもの)

(告示で定める業務)

① 新商品、新技術の研究開発又は人文科学、自然科学に関する研究の業務
② 情報処理システムの分析、設計の業務
③ 新聞、出版、放送における取材、編集の業務
④ 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザイン考案の業務
⑤ 放送番組、映画等の製作の事業におけるプロデューサー、ディレクターの業務
⑥ コピーライターの業務
⑦ システムコンサルタントの業務
⑧ インテリアコーディネーターの業務
⑨ ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
⑩ 証券アナリストの業務
⑪ 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
⑫ 大学における教授研究の業務
⑬M&Aアドバイザーの業務(※)
⑭公認会計士の業務
⑮弁護士の業務
⑯建築士(一級建築士、二級建築士及び木造 建築士の業務
⑰不動産鑑定士の業務
⑱弁理士の業務
⑲税理士の業務
⑳中小企業診断士の業務


< 労使協定で定めるべき事項 >

① 対象業務
② みなし労働時間
③ 業務の遂行手段、時間配分の決定等に関し、具体的な指示をしないこと
④ 対象業務に従事する労働者の健康・福祉確保のための措置
⑤適用労働者からの苦情処理に関する措置
⑥制度適用にあたり労働者本人の同意を得ること(※)
⑦同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしないこと(※)
⑧制度の適用に関する同意の撤回の手続き(※)
⑨労使協定の有効期間
⑩労働時間の状況、④、⑤、同意及び同意の撤回に関する 適用 労働者ごとの記録の保存
(労使協定の有効期間中及び期間満了後3年間)

◇企画業務型裁量労働制(※がついている項目は令和6年4月1日より施行されたものです)

・一定の要件を満たした場合に限り、あらかじめ定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。
・対象業務は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務です。
・導入するためには労使委員会を設けなければなりません。
・労使委員会は、労使それぞれ半数とし、以下の事項について委員の5分の4以上の多数により決議しなければなりません。
① 対象業務の範囲
② 対象労働者の範囲
③ みなし労働時間
④ 労働時間の状況に応じた対象労働者の健康・福祉確保のための措置
⑤ 対象労働者からの苦情処理に関する措置
⑥ 制度適用にあたり 労働者の同意 を得なければならないこと
⑦ 同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしないこと
⑧制度の適用に関する同意の撤回の手続き(※)
⑨ 対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、労使委員会に変更内容の説明を行うこと(※)
⑩ 決議の有効期間
⑪ 労働時間の状況、 ④ 、 ⑤ 、同意及び同意の撤回(※) に関する 対象 労働者ごとの記録の保存
(決議の 有効期間中及び期間満了後 3 年間)
・また、この決議は、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があるほか、労働時間の状況、上記④、同意及び同意の撤回に関する状況は、決議の有効期間の始期から起算して初回は6か月に1回、その後は1年以内ごとに1回、労働基準監督署に報告する必要があります。
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