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Ⅲ 期間の定めのある契約(有期労働契約)

Ⅲ 期間の定めのある契約(有期労働契約

 期間の定めのある契約(有期労働契約)は、労働者と使用者をその期間中拘束する性格のものですから、特別な事情がない限り、契約当事者の双方は一方的な理由だけで契約を解約することはできません。なお、有期労働契約を締結した労働者(※)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成 15 年法律第 104 号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第 628 条の規定にかかわらず、その有期労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(労基法 137)。

※ ここにいう有期労働契約については、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものは除き、その期間が1年を超えるものに限ります。また、ここにいう労働者については、高度で専門的な知識等を有する者や、満 60 歳以上の者は除きます。

 また、労基法では有期労働契約の期間について次のとおり上限を設けています(労基法 14)。

 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、その締結時や期間の満了時における労使間のトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について、基準を定めています。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

〈平成 15・10・22 厚生労働省告示第 357 号〉
〈 平成 20・ 1・ 23 厚生労働省告示第 12 号〉
〈平成 24・10・26 厚生労働省告示第 551 号〉

(雇止めの予告)

第 1 条 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を 3 回以上更新し、又は雇入れの日から起算して 1 年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第 2 項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の 30 日前までに、その予告をしなければならない。

(雇止めの理由の明示)

第 2 条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

2 期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

(契約期間についての配慮)

第 3 条 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を 1 回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して 1 年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。

 ※同基準については、令和 6 年 4 月 1 日から以下のとおり見直されます。

有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準

〈平成 15・10・22 厚生労働省告示第 357 号〉
〈平成 2 0・ 1・ 23 厚 生 労 働 省 告 示 第 1 2 号 〉
〈平成 24・10・26 厚生労働省告示第 551 号〉
〈令和 5・ 3・ 30 厚 生 労 働 省 告 示 第 114 号 〉

(有期労働契約の変更等に際して更新上限を定める場合等の理由の説明)
第 1 条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結
後、当該有期労働契約の変更又は更新に際して、通算契約期間(労働契約法第 18 条第 1
項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数について、上限を定
め、又はこれを引き下げようとするときは、あらかじめ、その理由を労働者に説明しな
ければならない。


(雇止めの予告)
第 2 条 使用者は、有期労働契約(当該契約を 3 回以上更新し、又は雇入れの日から起算
して 1 年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新し
ない旨明示されているものを除く。次条第 2 項において同じ。)を更新しないこととし
ようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の 30 日前までに、その
予告をしなければならない。


(雇止めの理由の明示)
第 3 条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証
明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった
理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。


(契約期間についての配慮)
第 4 条 使用者は、有期労働契約(当該契約を 1 回以上更新し、かつ、雇入れの日から起
算して 1 年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合に
おいては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長く
するよう努めなければならない。


(無期転換後の労働条件に関する説明)
第 5 条 使用者は、労働基準法第 15 条第 1 項の規定により、労働者に対して労働基準法
施行規則第 5 条第 5 項に規定する事項を明示する場合においては、当該事項(同条第 1
項各号に掲げるものを除く。)に関する定めをするに当たって労働契約法第 3 条第 2 項の
規定の趣旨を踏まえて就業の実態に応じて均衡を考慮した事項について、当該労働者に
説明するように努めなければならない。

  • ○ 有期労働契約の適正な利用のためのルールを整備するものとして、労契法では、有期労働契約について、以下の3つのルールが設けられています。
  • Ⅰ 無期労働契約への転換【労契法第 18 条】

     有期労働契約が更新されて通算 5 年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されます。(※)

    ※ 大学等及び研究開発法人の研究者、教員等や5年を超える一定の期間に完了することが予定されている業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者、定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者については、それぞれ特例が設けられております。

  • Ⅱ 雇止め法理【労契法第 19 条】

     最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理を規定したものです。
    使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件で成立することになります。

  • Ⅲ 不合理な労働条件の禁止【労契法第 20 条】

     有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることは禁止されています。

    ※ パート・有期法が施行される令和2年4月1日から(中小企業におけるパート・有期法の適用は令和3年4月1日)は、有期雇用労働者が同法の対象に含まれることとなり、同法第8条(不合理な待遇の禁止)、同法第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)の規定は、同法の行政指導及び紛争解決援助制度の対象となります。なお、同法の施行に伴い、労働契約法第 20 条は削除されます。

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