Ⅱ 休日
Ⅱ 休日
1 週休制の原則
休日は、原則として毎週 1 回以上与えなければなりませんが、これが難しい場合は、4週間に4 日以上の休日を与えることでもよいとされています。(労基法 35)。
休日についてのポイントは、次のとおりです。
- (1)毎週 1 回以上または 4 週 4 日の休日を与えていれば、それ以外に国民の祝日を休日とすることや週休 2 日制といったことは、労基法では強制されていません。ただし、前で述べた 1 週間の法定労働時間(34 頁参照。)に注意する必要があります。
- (2)労働者によって異なった日に休日を与えてもかまいませんが、各労働者について毎週 1 回以上の休日が確保できなければ労基法第 35 条に違反することになります。
- (3)1 週間のなかで何曜日を休日としてもかまいませんし、週によって休日の曜日が異なっても差し支えありませんが、毎週 1 回以上の休日が確保できなければ労基法第 35 条に違反することになります。
- (4)休日は、原則として暦日(午前零時から午後 12 時までの継続 24 時間をいいます。)で与えなければなりません。
また、1 日のうち一部でも仕事をさせれば、それがたとえ 30 分とか 1 時間くらいの短い時間であったとしても、その日は休日を与えたことにはなりません(休日としていた日であれば、休日労働をさせたことになります。)。
労基法では、休日を特定すること(いつを休日とするかを決めること)を義務付けてはいませんが、労働者が心身の疲労の回復を計画的、定期的に図るといった休日の目的からすると、できるだけ休日を特定することが望ましいといえます。 - (5)大企業については、1か月の時間外労働が 60 時間を超えた場合には、60 時間を超えた部分の時間外労働に対する割増賃金率が 50%以上とされ、法定休日労働に支払われる割増賃金率の 35%以上より高くなっています。
2 4週4休制
週休制をとることが難しい場合には、次図のように4週間に4日以上の休日を与えれば週休制の原則によらなくても差し支えありません(4週4休制)(労基法 35②)。
4週4休制を採用する場合は、就業規則等で4週の起算日を明らかにし、また、休日を特定することが望まれます。
また、4週4休制を採用する場合は、週の所定労働時間に留意する必要があります。
例えば4週4休制で 1 日の所定労働時間を 6 時間と短くしている場合でも、休日のない週は週の所定労働時間が法定労働時間 40 時間を超えることとなります。この超えた時間を時間外労働としないためには、1か月単位の変形労働時間制などを採用する必要があります。
3 「休日の振替」と「代休」の違い
所定の休日に、業務の都合でどうしても勤務させる必要がある場合、休日を確保するためには、「休日の振替」という方法を取る必要があります。
「休日の振替」とは、例えば、次図のように、所定休日である日曜日を勤務日に変更する代わりに、勤務日である木曜日を休日とするように、所定休日と他の勤務日をあらかじめ振り替えることをいいます。
この場合、振り替えられた休日は労働日となり、この日の労働は休日労働とはなりません(昭23.4.19 基収 1397、昭 63.3.14 基発 150)。ただし、休日を翌週に振り替えた等により週の労働時間で法定労働時間を超えてしまった場合には、超えた分が時間外労働になります。
一方、休日労働を行わせた後で、事後的に休日を取らせるいわゆる「代休」については、休日を与えることで既に行われてしまった休日労働の事実は変わらないため、上記通達においても「休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれ(休日の振替)に当たらない。」とされています。
<「振替休日」と「代休」の違いとその注意点>
項目 | 振替休日 | 代休 |
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意味 | 所定休日を勤務日に変更して他の勤務日を所定休日に事前に変更すること | 休日労働をさせた場合に、その代償として他の労働日を休日とすること |
行われる場合の要件 |
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賃金 | 振替休日が同一週内の場合、休日出勤日に通常の賃金を支払えばよく、振替休日に賃金を支払う必要はありません。(※) | 休日出勤日に割り増し賃金を支払わなければなりません。 |
※ 振替休日が週をまたがった場合、週の法定労働時間を超えて労働させた時間について時間外労働に係る割増賃金の支払いが必要となることがあります。