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Ⅰ  時間外労働・休日労働

第7章 時間外労働・休日労働

Ⅰ 時間外労働・休日労働

1 時間外労働・休日労働

(1)時間外労働とは

 1 日及び 1 週間の法定労働時間を超えて労働させることをいいます。

(2)休日労働とは

 1 週 1 日又は 4 週 4 日の法定休日に労働させることをいいます。

2 時間外・休日労働協定(いわゆる「36 協定」)による場合

(1)使用者が労働者代表と書面による労使協定を結び、これを所轄の労働基準監督署長に届け出なければ、協定の範囲内で、労働者に法定労働時間を超えて時間外労働を行わせ、又は法定の休日に労働をさせることができません(労基法 36)。36 協定を締結する際の労働者代表の選出方法は「第 14 章Ⅳ労働者代表の意見聴取」を参照ください。

(注)一般に、労働者に時間外労働を命ずるためには、36 協定が存する場合でも、就業規則や労働協約、個別の労働契約等において、時間外労働の具体的事由を定めておく必要があります。また、満 18 歳未満の年少者については、この協定によっても時間外労働、休日労働を行わせることはできません。

(2)36 協定では、1 日、1か月及び 1 年当たりの時間外労働時間数の上限について協定しなければならないとされています。なお、以上の期間に加えて、3 か月を超え 1 年未満の期間について協定することは差し支えありません。

36 協定において 1 日の時間外労働を何時間とするかについては、健康上特に有害な業務の場合(延長時間の限度は、2 時間)を除いて労基法上の制限はありません。

(3)これまで、36 協定で定める時間外労働については、厚生労働大臣の告示によって、上限の基準(いわゆる限度時間)が定められていましたが、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、特別条項付きの 36 協定を締結すれば、限度時間を超える時間あって 36 協定で定める時間まで時間外労働を行わせることが可能でした。

(4)時間外労働の上限規制

 平成 30 年の働き方改革関連法による改正によって、法律上、時間外労働の上限は原則として 月 45 時間・年 360 時間 となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなりました。

 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。

    • ・時間外労働が年 720 時間以内
    • ・時間外労働と休日労働の合計が月 100 時間未満
    • ・時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり 80 時間以内
    • ・時間外労働が月 45 時間を超えることができるのは、年6か月が限度
    • ・上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または 30 万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

(注)特別条項の有無に関わらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月 100 時間未満、2~6か月平均 80 時間以内にしなければなりません。

(※)例えば時間外労働が 45 時間 以内に収まって特別条項にはならない場合であっても、時間外労働= 44 時間、休日労働= 56 時間、のように合計が月 100 時間以上になると法律違反となります。

(5)令和6年4月1日から建設の事業、自動車運転の業務、医師についても、時間外労働の上限規制が適用されます。

以下の事業・業務については、一部の特例を除き、全ての事業・業務と同様に時間外労働の上限規制が以下の特例つきで適用されています。

(6)有効期間

 36 協定は有効期間を定めることとされていますが、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となります。また、36 協定は定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、その有効期間は 1 年間とすることが望ましいです。

<労使協定(36 協定)の協定事項>

時間外労働又は休日労働を行わせる必要がある場合には、以下の事項について協定した上で、36 協定届(様式第9号)を所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

 臨時的な特別の事情があるため、原則となる時間外労働の限度時間(月 45 時間・年 360 時間) を超えて時間外労働を行わせる必要がある場合には、さらに以下の事項について協定した上で、36 協定届(様式第9号の2)を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

なお、経過措置期間中は従前の規制が適用されます。

3 災害など臨時の必要がある揚合

 災害その他避けることができない事由によって、臨時に時間外や休日に労働させることが必要となった場合は、その必要な限度において労働させることができます(労基法 33①)。

 ただし、あくまで理由が「災害その他避けることのできない事由」ですので、単に業務が忙しいとか経営上通常予見される理由では認められません。

 また、この場合、あらかじめ所轄の労働基準監督署長の許可を受けるか、又は事態が急迫していて事前に許可を受ける時間的余裕がないときは、事後に遅滞なく届け出なければなりません。

なお、この規定は、年少者についても適用されますので、これらの者についても、必要な限度において時間外・休日労働、深夜業を行わせることができます。

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