Ⅸ 最低賃金
Ⅸ 最低賃金
1 最低賃金制度
最低賃金は、地域別最低賃金と特定最低賃金(従来の産業別最低賃金)の 2 種類があり、都道府県ごとに、時間額によって決定されています(最賃法 33)。
地域別最低賃金は、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される最低賃金であり、特定最低賃金は、都道府県内の一定の事業や職業に適用されるもので、地域別最低賃金額を上回る金額を定めることとされています(最賃法 16)。
労働者が二つ以上の最低賃金の適用を受ける場合は、そのうち高い方の最低賃金が適用されます。 また、派遣労働者については、派遣先の地域別最低賃金又は特定最低賃金が適用されます(最賃法 13)。
※ 「地域別最低賃金額」及び「特定(産業別)最低賃金額」は、参考資料のⅡ「最低賃金一覧」(236 頁)をご覧下さい。
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限定されており、具体的には、実際に支払われる賃金から次に掲げる賃金を除外したものが対象となります(最賃法 4③)。
- ① 1か月を超えない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で省令で定めるもの(最賃則1)
- ② 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で省令で定めるもの(最賃則1)
- ③ 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
また、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者等については、都道府県労働局長の許可を受けることによって、最低賃金を減額して適用することができる特例の制度があります。
2 最低賃金の強行性
使用者は労働者に対し、最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません(最賃法 4)。
最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約は、その部分については無効となり、その無効となった部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最賃法 4②)。