HOME Ⅹ 賃金、退職金、通勤手当等の手当

Ⅹ 賃金、退職金、通勤手当等の手当

Ⅹ 賃金、退職金、通勤手当等の手当

1 賃金の決定方法

 短時間労働者の賃金の決定については、次によることとされています。

(1)通常の労働者と同視すべき短時間労働者の賃金については、通常の労働者との差別的取扱いが禁止

* 同じ賃金表を適用すること、賃金の支給基準や査定・考課の基準を統一するなどの、対応が求められます。

(2)それ以外の短時間労働者の賃金のうち、職務関連賃金(基本給、賞与、役付手当等)については、通常の労働者との均衡を考慮して、職務内容、職務の成果、意欲、能力、経験等を勘案して決定するよう努めること(パート法 10、パート則 3)。

* 賃金の決定方法は、事業主の主観によるものや一律時給○○円というような決め方ではなく、業務の内容と責任に応じた賃金決定方法とすることや、昇給・昇格制度、人事考課制度の整備等、各事業所の実情にあった対応が求められます。

* なお、通勤手当のうち、「職務の内容に密接に関連して支払われる」ものについては、均衡確保の努力義務の対象となります。「通勤手当」という名称であっても、職務の内容に密接に関連して支払われているもの(例えば、距離や実際にかかっている経費に関係なく一律の金額を支払っている場合で、実態として基本給の一部として支払っている場合などが該当します。)は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験等を勘案して決定するよう努める必要があります。


 

※ パート・有期法が施行される令和2年4月1日(中小企業におけるパート・有期法の適用は令和 3年4月1日)からは、有期雇用労働者が法の対象に含まれることとなり、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験などを勘案し、その賃金を決定することが努力義務とされます(パート・有期法 10)。

2 退職手当等の決定

 短時間労働者の退職手当等の職務に密接には関連しない賃金についても、就業の実態や通常の労働者との均衡等を考慮して定めるよう努めるものとされています(指針)。

3 不合理な労働条件の禁止

 労契法第 20 条は、有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容(労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、有期契約労働者にとって不合理と認められるものであってはならないとしました。これは短時間労働者についても適用があります。

 有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されるもので、とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないと解されます。この労契法第 20 条の「労働条件」には、賃金や労働時間等の狭義の労働条件のみならず、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生等労働者に対する一切の待遇が含まれています。


 

※ パート・有期法が施行される令和2年4月1日から(中小企業におけるパート・有期法の適用は令和3年4月1日)は、有期雇用労働者が同法の対象に含まれることとなり、同法第8条(不合理な待遇の禁止)、同法第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)の規定は、同法の行政指導及び紛争解決援助制度の対象となります。なお、同法の施行に伴い、労契法第 20 条は削除されます。