ⅩⅠ 教育訓練、福利厚生施設
ⅩⅠ 教育訓練、福利厚生施設
通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について通常の労働者との差別的取扱いが禁止されます。また、通常の労働者と職務の内容が同じ短時間労働者については、その職務を遂行するに当たって必要な知識や技術を身に付けるために通常の労働者に実施している教育訓練については、短時間労働者が既に必要な能力を身に付けている場合を除き、通常の労働者と同様に実施することが義務付けられています(パート法 11①)。それ以外の短時間労働者については、教育訓練や福利厚生施設の利用についても、通常の労働者と同様に取扱うよう、努力や配慮が求められています(パート法 11②、12)。
具体的には、キャリアアップ訓練などについて、短時間労働者の職務内容、成果、意欲等に応じて実施するための努力、給食施設や休憩室、更衣室を通常の労働者と同じように利用する機会を提供する配慮が求められています。
※ パート・有期法が施行される令和2年4月1日(中小企業におけるパート・有期法の適用は令和 3年4月1日)からは、有期雇用労働者が法の対象に含まれることとなり、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、その通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務の内容が同じ短時間・有期雇用労働者が既にその職務に必要な能力を有している場合を除き、その短時間・有期雇用労働者に対しても実施することが義務付けられます(パート・有期法 11①)。
また、このほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験などに応じ、その有期雇用労働者に対して教育訓練を実施することが努力義務とされます(パート・有期法 11②)。
なお、福利厚生施設については、これまで利用の機会の付与は配慮義務規定となっていたところ、同法の施行により、義務規定に強化されます。義務化されることにより、福利厚生施設のうち給食施設、休憩室、更衣室について通常の労働者に利用の機会を与えている場合には、すべての短時間・有期雇用労働者に対しても利用の機会を与えなければならないこととなります(パート・有期法 12)。
短時間労働者の態様別に講ずる措置をまとめると次の表のようになります。
パート法上の各規定を適用する場合は、「通常の労働者と同視すべき労働者」の判断がポイントとなりますので、次の表を参考としてください。