3 労働時間
3 労働時間
■ 法定労働時間【労働基準法第32条】
使用者は労働者に休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはなりません(法定労働時間)。なお、特例措置事業場(事業場の規模が10人未満の「商業」・「映画演劇業(映画の製作の事業を除く)」・「保健衛生業」・「接客娯楽業」)については、1日8時間、1週間44時間まで労働させることが認められています。したがって、1日及び1週間の労働時間は、法定労働時間の限度で定める必要があります(所定労働時間)。
■ 1か月単位の変形労働時間制【労働基準法第32条の2】
1か月以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間(特例措置事業場は44時間)以下の範囲で、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。この制度を採用するためには、就業規則や労使協定により、次のことを定めておく必要があります。なお、当該労使協定については、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。
① 変形期間中の週平均労働時間を法定労働時間以内とすること
② 変形期間における各日、各週の労働時間を特定すること
③ 起算日を明確に定めておくこと
(例)暦日数が31日の月に1か月の勤務シフトを定めたケース
■ フレックスタイム制【労働基準法第32条の3】
3か月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業、終業の時刻を自らの意思で決めて働く制度です。
< フレックスタイム制の要件 >
① 就業規則等により、始業、終業の時刻を労働者の決定に委ねることを定めること。
② 労使協定により、対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間などを定めること。
(※)清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の所轄労働基準監督署長への届出が必要です。
清算期間 | フレックスタイム制において、労働契約上労働者が労働すべき時間を定める 期間のことをいい、その長さは3か月以内に限ることとされています。 |
清算期間中の総労働時間 | フレックスタイム制において、労働契約上労働者が清算期間において 労働すべき時間として定められている時間(所定労働時間)のことです |
(※)次の条件式を満たす必要があります。 清算期間における総労働時間 ≦ 清算期間の日数/7 × 1週間の法定労働時間 |
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標準となる1日の労働時間 | 年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる 労働時間の長さです。 |
フレキシブルタイム | 労働者がその時間帯であればいつ出社、退社してもよい時間帯です。 |
コアタイム | すべての労働者が勤務していなければならない時間帯です。 (コアタイムは必ず設けなければならないものではありません。) |
■ 1年単位の変形労働時間制【労働基準法第32条の4】
1か月を超え1年以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間以下の範囲で、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です
< 1年単位の変形労働時間制の要件 >
① 対象期間は、1か月を超え1年以内とすること。
② 対象期間を平均した1週間あたりの労働時間は40時間以内とすること。
(特例措置事業場においても40時間以内とする必要があります。)
③ 労働時間の限度は1日10時間、1週52時間までとすること。
④ 対象期間における労働日数は1年間に280日以内とすること。
(対象期間が3ヵ月以内の場合は制限がありません。)
⑤ 連続して労働する日数は原則として最長6日までとすること。
⑥ 1日及び1週の所定労働時間を法定労働時間以内で特定した場合には、法定労働時間を超えた時間について、法定労働時間を超えて特定した場合には、その所定労働期間を超えた時間について割増賃金を支払うこと。
⑦ 対象労働者の範囲、対象期間及び起算日、労働日及び労働日ごとの労働時間、有効期間、特定期間(を定めた場合はその期間)を定めた労使協定を締結し、これを労働基準監督署長に届け出ること。
⑧ 常時10人以上の労働者を使用している事業場については、1年単位の変形労働時間制を採用する旨を就業規則に記載し、これを労働基準監督署長に届け出ること。