Ⅳ 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)
Ⅳ 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)
- ○ 使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中は有期契約労働者を解雇することができません。(労契法 17①)
- ○ 「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものですが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、有期労働契約期間中の解雇は、無効と判断される可能性が無期労働契約の解雇よりも高いと考えられます。
- ○ 契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものです。
- ○ 「解雇することができない」旨を規定したものであることから、使用者が有期労働契約の契約期間中に労働者を解雇しようとする場合の根拠規定になるものではなく、使用者が当該解雇をしようとする場合には、民法第 628 条が根拠規定となるものであり、「やむを得ない事由」があるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負うものです。
- ○ 有期労働契約の適正な利用のためのルールを整備するものとして、労契法では、有期労働契約について、以下の3つのルールが設けられています。
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Ⅰ 無期労働契約への転換【労契法第 18 条】
有期労働契約が更新されて通算 5 年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されます。(※)
※ 大学等及び研究開発法人の研究者、教員等や5年を超える一定の期間に完了することが予定されている業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者、定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者については、それぞれ特例が設けられております。
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Ⅱ 雇止め法理【労契法第 19 条】
最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理を規定したものです。
使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件で成立することになります。 -
Ⅲ 不合理な労働条件の禁止【労契法第 20 条】
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることは禁止されています。
※ パート・有期法が施行される令和2年4月1日から(中小企業におけるパート・有期法の適用は令和3年4月1日)は、有期雇用労働者が同法の対象に含まれることとなり、同法第8条(不合理な待遇の禁止)、同法第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)の規定は、同法の行政指導及び紛争解決援助制度の対象となります。なお、同法の施行に伴い、労働契約法第 20 条は削除されます。