- 〇
- 期間の定めのない労働契約について、原則として、使用者は 30 日前に予告すれば、解雇をする権限を有している。
- ※
- 労働基準法第 20 条、民法第 627 条
- 〇
- しかしながら、判例では、使用者の解雇権の行使は、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になるとしており(解雇権濫用法理)、判例法理を法文化した労働契約法第 16 条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」としている。
- ※
- 労働契約法第 17 条では、期間の定めのある労働契約については、やむをえない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間、解雇をすることができないとされている。
- 〇
- 解雇事由については、労働基準法により就業規則に定めることとされており、「客観的に合理的な理由」の主張立証は、就業規則に定める解雇事由該当性が中心的な争点となる。そして解雇事由該当性ありとされる場合においても、なお解雇の相当性が検討される。
- ※
- 労働基準法第 89 条
- 〇
- 「客観的に合理的な理由」については、概ね次のように分類することができる。
- ①
- 労働者の労務提供の不能による解雇
- ②
- 能力不足、成績不良、勤務態度不良、適格性欠如による解雇
- ③
- 職場規律違反、職務懈怠による解雇
- ④
- 経営上の必要性による解雇
- ⑤
- ユニオンショップ協定による解雇
※ 本指針においては、裁判例の分析、参考となる裁判例に関する記述と、雇用慣行、法制度、関連情報等に関する記述とを区別しやすくするため、前者については で囲み、後者については で囲んでいる。
また、特に紛争が生じやすい項目については、紛争を未然に防止するために留意すべき点を記述している。
上述のとおり、本指針の裁判例の分析は一般的傾向を記述したものであり、個別判断においては、個々の事案毎の状況等を考慮して判断がなされる。